2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19402016
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡辺 宏之 Waseda University, 法学学術院, 准教授 (10376402)
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Keywords | オフショア / 信託法 / 信託の限界 / 信託類似制度 / 欧州統一信託法 |
Research Abstract |
本年度は、ヨーロッパにおける一種のオフショア地域といえるスイスの信託法制と実務の現地調査を行い、併せて同様に欧州のオフショア地域であり非常な小国ながら独自の信託法制を有するリヒテンシュタインの信託法制の調査研究を行った。 さらに各国の先進的な研究者と多数のディスカッション・ミーティングを行い、各国の信託法の動向とともに、「信託の本質」とは何かについて突っ込んだ議論を行い、きわめて有益な示唆を得た。テーマとしては以下のようなものがある。・「“エクイティなき信託"について」・・「スコットランドにおける信託の理論構成」「スイスにおける信託とオフショア信託」・「ハーグ信託条約の批准がスイス信託に与えた影響」・「イタリア・英国・スイスおよび日本の信託」 なお、オフショア法域を含む他国で設定された信託のイタリア国内での効力を、ハーグ信託条約との関係で論じた、イタリア信託に関するわが国初めての本格的な研究の成果として、英語論文“The Recognition and Introduction of Trusts in Italy"を早稲田大学比較法研究所の比較法学に提出した。本論文は、欧州大陸法諸国における“信託"の導入に関する議論や理論構成を通じた、「信託の本質とは何か」の議論を、欧州をはじめとした世界各国の研究者と英語にて対等の土俵で議論し成果とする試みの「第一弾」であり、これに続くかたちで多くの英語論文・レポートを準備中である。こうした試みは、わが国における真に国際的・先端的な研究の先陣をなすものとして、きわめて意義のあるものと考えている。
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