2010 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアにおける女子教育及び女性のライフコースに関する総合的研究
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19402041
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
服部 範子 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (70189570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名須川 知子 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (50144621)
角田 万里子 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (00131516)
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Keywords | 南アジア / ジェンダー / 女子教育 / 社会政策 / ライフコース |
Research Abstract |
今年度は最終年度にあたるため、これまでのまとめ及び補足的な現地調査を実施した。調査結果は以下の通りである。 1)南アジア北部ヒマラヤの山岳地帯(インド北西部のラダック地方、北東部のシッキム・ダージリン、ブータン)において現地調査を実施した。世界的にみても厳しい生活環境条件での人々の日常生活の実態、ヒトの誕生から生長し死に至るまでの通過儀礼とチベット仏教との相互関連性、また、この地域に独特な結婚や家庭生活は、人々が厳しい生活条件に適応するため発達させてきたものであることを明らかにした。 2)ブータンについては、一昨年度の調査でブータン仏教に基づいた政治制度や社会生活及び近年の教育制度改革や現状について明らかにした。今年度はその上で、女性の教育や労働・職業の実態、そして、家庭生活などについて女性への聞取り・生活調査を実施した。農業従事者の家庭では妻問い婚や母系制が続いていること、近代的な教育制度・近代的な職業においては柔軟な制度・システムがつくられており、人々の生活にはブータン社会の伝統的な生活が引継がれていることを明らかにした。 3)インドで一番、教育が進んでいるケララ州のうち、教育の遅れているイスラム教徒が多い北部の地域で、女性の教育状況や家庭生活について調査を実施した。イスラム教徒の女子は約20年前にはほとんど教育を受けていなかったが最近は受けるようになっていること、現在、女性は家庭中心の生活をしているが、社会的隔離は隣国パキスタンほど厳しくないことを明らかにした。
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