2008 Fiscal Year Annual Research Report
低温物質生産システムの開発を目指した新規低温適応微生物の探索
Project/Area Number |
19404020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗原 達夫 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (70243087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
三原 久明 京都大学, 化学研究所, 助教 (30324693)
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Keywords | 低温適応微生物 / 低温菌 / 好冷菌 / 低温物質生産 / 低温誘導性遺伝子 / タンパク質分泌生産 |
Research Abstract |
アラスカ永久凍土から分離した低温適応微生物について、本菌がほぼ単一の分泌タンパク質としてヘモリシン共制御タンパク質(Hcp)ホモログを高生産することを見いだした。本菌を宿主としたタンパク質分泌高生産システムを開発すべく、Hcpの分泌機構を解析した。異種生物間で高度に保存されたHcpの配列に基づいてHcp遺伝子をクローニングし配列解析を行った。Hcpホモログの末端にHis-tagまたはmyc-tagを付与したHcpホモログの高発現ベクターを構築し、本菌に導入して分泌特性を解析した。いずれの場合も分泌効率は著しく低く、特にN末端にタグを付与した場合やC末端にmyc-tagを付与した場合は、分泌タンパク質が検出されなかった。また、いずれの場合も、ゲノムにコードされている野生型Hcpホモログの分泌効率が著しく低下することが見いだされた。タグを付与したHcpホモログが分泌装置に結合したまま細胞内にとどまり、野生型Hcpホモログの分泌を阻害した可能性が考えられた。タグを付与したHcpホモログと分泌装置が細胞内で結合している可能性が示されたので、His-tagged Hcpホモログと共精製されるタンパク質を解析することとした。His-tagged Hcpホモログを生産する細胞を可溶化し、ニッケルキレートカラムに供した結果、His-tagged Hcp ホモログと相互作用すると考えられるタンパク質が見いだされ、当該タンパク質が分泌装置を構成する因子の一つである可能性が示された。一方、南極海水から分離した低温適応微生物について、低温での生育特性や物質生産能の改良に供することを目的として、低温適応機構を解析した。トランスポゾンを用いた変異導入によって低温感受性変異株を取得し、低温での生育に重要な役割を果たす遺伝子を同定した。
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