2007 Fiscal Year Annual Research Report
第三紀後期のユーラシア産小型哺乳類の断続的放散と環境適応に関する分子系統解析
Project/Area Number |
19405010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 仁 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (40179239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 淳 福山大学, 生命工学部, 助教 (80399162)
篠原 明男 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター・実験支援部門, 助教 (50336294)
甲能 直樹 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 主任研究官 (20250136)
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Keywords | 第三紀 / 哺乳類 / 遺伝子 / 分子系統 / 系統地理 / 適応放散 / ユーラシア / 日本列島 |
Research Abstract |
ヤマネ類の分子系統学的解析を行い、ニホンヤマネの分岐は第三紀中新世初期であることを示した(Nunome et al. 2007)。複数の核遺伝子マーカーを用いてユーラシア温帯域に広く分布するアカネズミ類(Apodemus属)の分子系統学的解析を行い、アジアにおける種多様化700-600万年前に地理的隔離後のニッチの分化を伴う分布域重複というシステムにより系統分化が生じた可能性を明らかにした(Suzuki et al. 2008印刷中)。ヨーロッパでは300-200万年前に同様のシステムで種分化が起き、さらに第四紀の後期にセスジネズミのヨーロッパへの分散が草原への環境適応を介して起きた可能性があることを示した。以上のように第三紀後期以降のアカネズミ類の3回の断続的放散によりその進化過程は説明可能であるとの見解を示した。また、ハツカネズミ属において新に採取されたミャンマー産個体の形態、遺伝子を解析したところ、これまで既存種のシノニムと考えられていたMus nitidulus Blyth 1859 は系統学的独自性が明らかとなり再発見種としての登録を行った(Shimada et al. 2007a)。ミャンマーは東南アジア、インドと同様に生物地理学的に系統分化の拠点としての機能を持つことを明らかにした。さらに、東アジア、東南アジアおよびミャンマーに広く分布するオキナワハツカネズミ(Mus caroli)の解析を行ったところ、数十万年という時間の中で1)台湾、2)ミャンマー、3)ラオス、4)ベトナム、5)カンボジア、6)タイ、7)ミャンマー、8)南中国、という細かく分画された地域で系統分化が起きていることが明らかとなった(Shimada et al. 2007b)。ユーラシアにおける小型哺乳類の系統分化は断続的に同調的に生じている様がこれらの研究を通して鮮明となった。
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Research Products
(4 results)