2008 Fiscal Year Annual Research Report
第三紀後期のユーラシア産小型哺乳類の断続的放散と環境適応に関する分子系統学的解析
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19405010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 仁 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (40179239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 淳 福山大学, 生命工学部, 講師 (80399162)
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Keywords | 第三紀 / 哺乳類 / 遺伝子 / 分子系統 / 系統地理 / 適応放散 / 日本列島 / ユーラシア |
Research Abstract |
これまでは断片的であったアカネズミ属の主要な8系統に関する分子系統学的な位置づけを初めて行った。ユーラシアのアカネズミ類はおよそ700万年前に4つの古系統に分岐し、そのうちの二つにおいて600万年前頃にヨーロッパで2分岐、アジアで4分岐したことが明らかとなった。生態学的なニッチの変化や体サイズの二型化現象も加味して系統分化の必然性について考察を行った(Suzuki, et.al.,2008)。比較的近年、アジア系統の一つ、セスジネズミがヨーロッパに進出し、アカネズミ類の地理的分布が現在のものになったことが示唆された。日本固有種で、北海道から九州まで分布するアカネズミの系統地理学的研究を核遺伝子とミトコンドリア遺伝子を用いて行った。その結果、中央と周辺といったドーナッツ型の空間構造がそれぞれのマーカーで存在することを明らかにし、日本列島の特殊な島嶼構造と第四紀の環境変動の中で形成された可能性があることを示した。すなわち中央(本州、四国、九州)からの複数回の周辺(北海道、佐渡、伊豆諸島、薩南諸島、対馬、隠岐)への分散により、周辺域における新旧タイプの混合とドリフトにより旧来のものが残ることにより現在の特異的空間構造が構築されたものと推察された(Tomozawa and Suzuki, 2008)。日本列島のモグラ類の種の多様性を理解する上で、アジア大陸の中でのモグラ類の種分化パターンの把握は必須の項目であり、今回中国砂漠地帯に分布するニオイモグラの分子系統学的な解析を行う機会を得た。その結果この系統はアジアでミズラモグラ類とモグラ類の系統が分岐した時期とほぼ同時期に分岐したことが明らかとなった(Shinohara, et.al, 2008)。
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Research Products
(4 results)