2007 Fiscal Year Annual Research Report
東ユーラシアにおける淡水魚類の生物多様性起源:分化と分散の多層的アプローチ
Project/Area Number |
19405011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
後藤 晃 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30111165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 治己 水産大学校, 生物生産学科, 教授 (80399659)
岩田 明久 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20303878)
森 誠一 岐阜経済大学, 地域連携推進センター, 教授 (50308657)
渡辺 勝敏 京都大学, 大学院・理学系研究院, 准教授 (00324955)
山崎 裕治 富山大学, 理工学研究部, 准教授 (30332654)
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Keywords | 国際研究者交流 / 東ユーラシア / 淡水魚類 / 生物多様性 / 系統地理 / 起源 / 種分化メカニズム |
Research Abstract |
平成19年8月中旬の2週間にロシア・アムール川下流域での魚類調査、および8月下旬〜9月上旬の2週間に中国山東省の黄河水系での魚類調査を実施し、得られた魚類標本のDNA解析に基づいて、以下の研究成果が得られた。 1.ユーラシアの東西に沿って広く分布するカジカ属Cottus poecilopusについて、mtDNA塩基配列解析を行った結果、種レベルの深い分化を有する6つの系統が検出された。この結果は、北米やヨーロッパにおける最終氷期以降の分散・分化と異なり、これらの古い系統が更新世を通して各地域の存在した避寒地を利用して生き延びてきたことを示唆する。 2.ユーラシア委陸に分布するフナ属はCarassius carassiusとC. gibelio gibelioの2種類であると報告されてきたが、カザフスタンのオビ川水系から得られたフナのサンプルは、mtDNA塩基配列解析と形態形質解析によって、上記の2種の他にC. gibelio gibelioと姉妹関係を示すC. gibelioの新亜種が見出された。この新亜種は、もともとカザフスタン、北ヨーロッパ、ロシアに分布していたと推察される。 3.東ユーラシア東縁部の南北方向の魚類相の交流の歴史を明らかにするため、黄河水系中・下流部において、広域に分布する魚種を中心とする標本採集を行った。日本人研究者3名(渡辺、井口、高橋)が中国に滞在し、前後の打ち合わせや試料整理を除き,計13日間の野外調査を実施した。その結果、トゲウオ科、ギギ科、フナ属・タカハヤ属等コイ科を中心に計21地点から45種1100個体以上の試料が得られた。現在これらの試料に関するDNA分析を進めているところである。
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Research Products
(4 results)