2008 Fiscal Year Annual Research Report
東ユーラシアにおける淡水魚類の生物多様性起源 : 分化と分散の多層的アプローチ
Project/Area Number |
19405011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
後藤 晃 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30111165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 治己 独立行政法人水産大学校, 生物生産学科, 教授 (80399659)
井口 恵一朗 北海道大学, 独立行政法人水産総合研究センター・中央水産研究所, 主任研究員 (00371865)
渡辺 勝敏 京都大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (00324955)
岩田 明久 京都大学, 大学院・アジアアフリカ地域研究研究科, 准教授 (20303878)
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Keywords | 東ユーラシア / 淡水魚類 / 種多様性起源 / 系統地理パターン / 多層的アプローチ / 種分化 / 生活史進化 / 魚類相形成史 |
Research Abstract |
東ユーラシアの淡水系に分布する主要な淡水魚類の種多様性の起源および魚類相形成史を解明する目的で, 国内外で採集されたサンプルを用いてDNA解析を実施し, 以下の貴重な研究成果を得た. 1. 2008年10月11日から24日まで, 日本人研究者3名(岩田, 井口, 渡辺)が中国南部の広東省と海南島において魚類法本採集調査を実施し, ドンコ科, ギギ科, フナ属の多くの標本を採集した. また, 大陸と海南島にまたがって広域分布する魚種について約280地点・種から1000個体のPNA分析資料を得ることができた. これらの標本を現在, 遺伝集団解析しているところである. 2. カワヤツメの分布域を網羅した13地域集団を対象に, マイクロサテライトDNA解析を行った結果, 現在の数世代間では方向性のある遺伝子流動が認められたが, 長い時間スケールでは分布域全体にわたっで自由で緩やかな遺伝子流動が生じていたことが示された. 3. 2008年9月28日から10月8日まで, 日本人研究者1名(酒井)がサンクトペテルブルクのペテルゴフ公園池においてギンブナ標本の採集調査を実施した. 得られた標本のmtDNAハプロタイプ分析を行った結果, このフナはアムール川からの移植魚であると推定された. また, このハプロタイプグループに含まれるフナはレナ川とサハリンのティム川に分布することが明らかになった. 4. 東ユーラシア北部に広く分布するカジカ属の1種, cottus poecilopusを対象に, mtDNA塩基配列解析を行った結果, 深い分岐を示す7つのクレードが見出され, これらは分類学的にそれぞれ独立種に相当すると推察された.
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Research Products
(5 results)