2007 Fiscal Year Annual Research Report
大津波がマングローブ林生態系に及ぼした影響解析と修復過程予測に関する研究
Project/Area Number |
19405028
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
田淵 隆一 Forestry and Forest Products Research Institute, 国際連携推進拠点, 拠点長 (30343784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 義三 独立行政法人水産研究センター, 養殖研究所・生産システム部, チーム長 (30425524)
平田 泰雅 独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, グループ長 (50353826)
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Keywords | 大津波被害 / マングローブ林 / 枯死個体数変化 / 樹勢回復 / 根系再生 / 底生生物相 / 群集構造変化 / 多様性変化 |
Research Abstract |
タイ国ラノン県スクサムラン郡プラパット海岸のカセトサート大学沿岸資源研究場周辺のマングローブ林において、2003年11月に設定して2004年12月の大津波被害前に2回、2005年11Aに3回目のセンサスを実施した試験区について、林分の成長と枯死状況を調べた。津波による漂流物等による打撃を受けるとともに林床に10〜20cmの砂が堆積した区では、津波後約1年間に多くの枯死が観察されたが、2年目以降は枯死本数の減少がみられた。これに対し打撃と堆砂を伴わなかった区では、直後よりも2年目以降枯死個体が徐々に増加した。樹勢回復の指標の一つとして、堆砂下での地下根系の回復には林分構成樹種による差がみられ、地下浅く広がるケーブル根と地上への呼吸根とを持つAvicenniaalba林ではすでに砂層への根の伸長が観察されたが、支柱根を持つRhizophora属樹種では砂層への根の発達はまだほとんどない。 汽水域の生産力を支えるマングローブの底生生物相に関しては、出現生物は6門72種にのぼり、軟体動物(36分類群)、節足動物(21分類群)、環形動物(9分類群)の3つの分類群が卓越していた。砂が堆積した林内では表在底生生物が一時的に激減したが、約1年後には密度や現存量については津波前の水準まで回復した。しかしながら津波被害の大きかった地点では、平均種数が最大約77%、多様度指数が最大86%減少するなど、底生生物の多様性に変化が認められた。特に多毛類(環形動物)や斧足類(軟体動物)等の内在底生生物が少なくなる一方、表在底生生物が増加するなど、群集構造が変化していることが示唆された。 このほか調査地周辺の津波前の衛星画像データを入手し、被害強度確認の準備を整えた。
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Research Products
(4 results)