2009 Fiscal Year Annual Research Report
大津波がマングローブ林生態系に及ぼした影響解析と修復過程予測に関する研究
Project/Area Number |
19405028
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
田淵 隆一 Forestry and Forest Products Research Institute, 国際連携推進拠点, 拠点長 (30343784)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 義三 独立行政法人水産研究センター養殖研究所, 生産システム部, チーム長 (30425524)
平田 泰雅 独立行政法人森林総合研究所, 森林管理研究領域, チーム長 (50353826)
|
Keywords | マングローブ林生態系 / インド洋大津波 / 被害実態 / 枯死パターン / 修復過程 / 底生生物相 / 堆砂状況推移 / 立地消失 |
Research Abstract |
激甚な大津波被害による大量の海砂堆積を被った河口部付近(倒伏マングローブ林跡地が大半を占める海岸)では、被害後5年目時点で潮汐と波浪によるマングローブ跡地の浸食がさらに顕在化してきた。立木の死亡で根系網の緊縛力が失われたことによるものである。潮汐による浸食はさらに、高く砂が積もり植生修復用にモクマオウが植えられた箇所にまで到達しようとしている。前面の砂が失われていったことにより潮が届きやすくなったためである。これにより植栽後4年で樹高5~6mに達していたモクマオウの根返りによる倒伏が生じ始めているが、天然群落では新たな倒伏はみられない。マングローブ立地であった箇所には堆砂が生じてもモクマオウによる修復は困難であり、マングローブ樹種による早急な植生修復を図らなければ立地そのものの喪失は止まらない。 高分解能衛星データを用いてマングローブ林の林冠被覆変化を津波発生前後について定量化し、被害状況を把握した。その結果、対象域のマングローブ林の約1%が津波により倒伏したと推定された。また、林冠ギャップは1年あたり10~13%の割合で閉鎖していることが明らかになった。高分解能衛星データを用いた林冠比較は、自然災害後の森林修復過程の解明に役立つ。 沿岸のマングローブ域における底生生物調査および漁業実態調査から、腹足類や甲殻類などの表在性の底生生物相は、沿岸の潮汐作用が及ぶ地点では津波直後に比べて底質が改善され多毛類などによる生物攪拌作用が助長されたため急速に回復した。しかし津波による海砂堆積で地盤が高くなった地点では潮汐が到達しないため表層が乾燥し、陸生昆虫の多様性や現存量が増加する傾向が認められた。
|
Research Products
(6 results)