2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯サンゴ礁環境変化から読み解く魚類の測季システム
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19405031
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
竹村 明洋 University of the Ryukyus, 理学部, 教授 (40222103)
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Keywords | サンゴ礁 / 熱帯 / アィゴ / 年周期 / 産卵 / 組織学 |
Research Abstract |
本研究は、インドネシアに広がる熱帯サンゴ礁に生息する魚類(アイゴ類やスズメダイ類等)を研究対象として、これらの魚の成熟開始に関する環境要因を特定することと地域特性に応じた環境変化を感じ取る魚類のセンサーの存在を明らかにすることを目的とする。本年度は以下の研究を行った。 海外調査 本年度の海外調査をインドネシアジャワ島域が雨季に当たる平成22年1月23日~1月29日に行った。インドネシア中部ジャワのスマラン市に滞在し、ディポネゴロ大学海洋科学科研究協力者と、ゴマアイゴについては生殖腺体指数及び胃内容物について、気象・海況についてはプランクトン量、雨量、クロロフィル量などの周年記録について議論した。また、インドネシアカリムンジャワ諸島近海で採取された魚を中部ジャワジェパラ市の市場で購入し、調査時期における生殖腺の発達状況及び胃内容物について調べた。現在得られた結果を解析中である。 国内研究 本年度はゴマアイゴのiodothyronin deiodinase遺伝子typeII(D2)及びtypeIII(D3)の塩基配列を決定すると共にこれらの発現パターンを様々な環境因子との関連で調べた。その結果、D2及びD3はそれぞれ270及び271のアミノ酸をコードしており、魚類のD2及びD3と高い相同性を持つことが明らかとなった。D2は肝臓に強く発現していたのに対し、D3は肝臓と脳に強く発現していた。ゴマアイゴの栄養状態とこれら遺伝子の発現との関連を昼と夜で調べた結果、D2遺伝子発現は栄養条件との関連が示唆され、肝臓における発現は飢餓状態で減少した。一方、D3遺伝子は栄養状態には左右されず、昼夜での変動が大きく夜に高くなった。これら遺伝子の発現を制御する要因が異なっていることが示唆された。
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Research Products
(17 results)