2008 Fiscal Year Annual Research Report
染色体一本鎖テロメア測定によるカリブ海で多発するパーキンソニズムの早期診断
Project/Area Number |
19406001
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田原 栄俊 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00271065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 茂 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60160503)
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Keywords | テロメア / パーキンソニズム / G-tail / カリブ海 / リスク診断 |
Research Abstract |
染色体の末端のテロメアDNAはヒトの場合10kbp程度の長さがあり、最末端部分は3'末端が数百塩基ほど突出した-本鎖テロメアDNA (G-tail)である。このG-tailは、DNA傷害として認識されないように二本鎖のテロメアDNAが開裂した中にもぐり込み、染色体の末端がループ構造(t-loop)を形成して染色体保護として働いている。そのため、テロメアG-tailの長さが短くなるとt-loop構造の安定性が悪くなり細胞レベルでの様々な機能不全が現れ、その組織における機能不全に結びついている可能性があり、G-tailの長さを指標に細胞の機能レベルの指標となる可能性がある。本研究の目的は、カリブ海などでは、サワーソップ果実の摂取を主原因とするパーキソンニズムの多発が問題になっており、これらの疾患のリスク評価が末梢血をもちいたG-tail長の測定により可能し、それらの進行を早期に回避できる早期診断システムを構築することである。そこで、果実を摂取していない健常人群とすでにパーキソンニズムが発症している患者群から末梢血を採取してDNAを精製しテロメアG-tail長を測定することを計画し、カリブのGuadelopeに連絡を取り、患者からのサンプル採取について手続きを行った。さらに、カリブ諸島におけるパーキンソニズム発症患者の血液及び脳脊髄液を採取して保存できるシステムを構築するために必要なインフォームドコンセントを得る為の手続き、書類作成、データベース構築などは行ったが、受け入れ病院の体制確立の問題解決に時間を要していおりサンプル採取までには至っていない。しかし、日本側の準備としては、患者の血液サンプルから簡便かつ効率よくDNAを精製する方法を検討して、測定誤差が少ないDNA精製法を開発できた。それらを用いてCV値が5%以内の誤差範囲で高感度かつ迅速にG-tail長を測定できる体制は確立できた。
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