Research Abstract |
この数年,海外の業者からヘビ毒及び生きた毒ヘビを入手する事が,事実上不可能になってきた。今回,熱帯・亜熱帯地域に生息する毒ヘビの毒腺と蛇毒をこの十数年の海外協力者と情報交換し,研究材料を確保したい。ヘビ毒タンパク質の構造と機能の多様化を網羅的に解析する。血栓毒と抗血栓毒をはじめ,血小板毒タンパク質,さらに新型の神経毒タンパク質と新型のVEGFを網羅的に探索する。 森田は7月に国際血栓止血学会(ICTH)にて毒タンパク質に関して発表をすると共に蛇毒由来の血栓毒タンパク質の情報を入手した。また,森田はICTHのExogenons HemostaticFactor標準委員会にco-chairmanとして出席し,毒タンパク質の命名法案について討議した。また,6月に韓国プサン大学など,10月にタイ国南部でのシンポジウムにてヘビ毒タンパク質の研究結果を報告すると共に,現地の毒ヘビの入手経路の情報を入手した。現在,当研究室ではアフリカ南部に生息するBitis arietans毒の抗凝固タンパク質を研究しているので,仏Latoxan社を介して南アフリカB.arietans毒1,600mgを入手した。また,米国ケンタッキー州爬虫類動物園のHarrisonさんらと交渉しB.arietansからの毒腺を摘出後,送付してもらうことになった。同動物園からB.arietans毒2,000mgをすでに入手した。一方,ハブ毒20gを日本蛇族学術研究所(ヘビ研)から入手した。エジプトに生息するEchispyramidum毒から新型のVEGF様タンパク質の単離と諸性質を明らかにし,学会で報告した。一方,毒ヘビ毒中の新規生理蛋白質を網羅的に探索するため,現在キングコブラ,ヤマカガシ,日本マムシ,ハブの毒腺のcDNAライブラリーの作成とその網羅的な配列解析を行なっている。
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