2007 Fiscal Year Annual Research Report
タイ国伝承医薬の現地調査と薬効に関する科学的根拠の検証
Project/Area Number |
19406004
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高野 幹久 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20211336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 純也 広島大学, 大学院・歯薬学総合研究科, 准教授 (20301301)
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Keywords | タイ国伝承医薬 / 抗がん薬 / 抗糖尿病薬 / 薬物トランスポーター / 培養がん細胞 / MRP / P-gp / 多剤耐性 |
Research Abstract |
本研究は、タイ国伝承医薬について、現地にて情報・試料を収集するとともに、抗がん作用を中心に、その効果を科学的に検証することを目的としている。本年度は、Khon Kaen大学の協力のもと、現地の視察、情報・試料収集ならびに収集した試料のin vitro効果について解析を行い以下の知見を得た。 1)Khon Kaen大学を訪問し、伝承医薬研究センター等の見学を行うとともに、薬学部長からタイ国における伝承医薬、民間医薬の現状について話をうかがった。また、Khon Kaen大学にて抽出単離されたKaempferia parviflora根茎由来のフラボン類、ならびに抗がん効果、抗糖尿病効果を持つ可能性のあるエタノール抽出物10種を供与いただいた。さらに、伝承医療を実践しているPhon病院を訪れ実情について話をうかがうとともに、同病院で使用されている伝承医薬を収集した。 2)Khon Kaen大学から供与されたフラボン類およびエタノール抽出物について、ヒト非小細胞肺がん培養細胞A549の抗がん剤排出トランスポーターmultidrug resistance-associated protein(MRP)に対する影響を解析した。その結果、2種のフラボン(DMF,PMF)が、代表的なMRP阻害剤であるプロベネシドよりも強力なMRP阻害能を有すること、細胞のドキソルビシン(DXR)感受性を増強させることが示された。また10種のエタノール抽出物の中では、バンレイシ科植物の葉由来抽出物が最も強いMRP阻害能、DXR感受性増強作用を持つことが明らかとなった。従って、これら天然植物はがん細胞の抗がん剤耐性克服薬として有用である可能性が示唆された。 今後、上記試料の抗糖尿病効果について解析するともに、Bangkok地区でも新たな試料収集を進め、タイ国伝承医薬の有用性について広く検証する。
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Research Products
(2 results)