2008 Fiscal Year Annual Research Report
タイ国伝承医薬の現地調査と薬効に関する科学的根拠の検証
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19406004
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高野 幹久 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20211336)
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Keywords | タイ国伝承医薬 / 抗がん作用 / HepG2細胞 / パクリタキセル耐性 / キョウチクトウ科植物 / ツクバネカズラ科植物 |
Research Abstract |
本研究は、タイ国伝承医薬について、現地にて情報・試料を収集するとともに、抗がん作用を中心に、その効果を科学的に検証することを目的としている。本年度は、Mahidol大学およびKhon Kaen大学の協力のもと、現地の視察、情報・試料収集ならびに収集した試料のin vitro効果について解析を行い以下の知見を得た。 1)Mahidol大学を訪問し、Varaporn Junyaprasert博士、Noppamas Soonthornchareonnon博士からタイ国における伝承医薬、民間医薬の現状について話をうかがった。また、Noppamas Soonthornchareonnon博士から抗癌作用を持つ可能性のある13種類のタイ植物の素抽出物および単離精製物を供与いただいた。 2)Khon Kaen大学およびMahidol大学から供与されたタイ植物抽出物について、HepG2細胞および我々がestablishしたパクリタキセル耐性HepG2細胞を用い、抗がん多剤耐性に関わるP-糖タンパク質(P-gp)への影響を検討した。その結果、キョウチクトウ科植物の葉のエタノール抽出物であるKP008、ツクバネカズラ科植物のエタノール抽出物であるAT80に強いP-gp阻害活性を認めた。 3)KP008を併用することによって抗がん剤多剤耐性がん細胞のパクリタキセルに対する感受性が増強され、耐性克服剤としての有用性が示唆された。 4)濃度や処理条件によっては、KP008やAT80自身が、がん細胞に対して細胞毒性を示し、抗がん作用物質を含む可能性が示唆された。 今後、供与された全ての試料について、抗がん剤排出ポンプ阻害効果、殺がん細胞効果に関する検討を行うとともに、抗糖尿病効果についても解析を進め、タイ国伝承医薬の有用性について広く検証する。
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Research Products
(3 results)