Research Abstract |
資料収集:平成20年度韓国啓明大学病理学教室における中皮腫,髄膜腫,平成21年度台湾彰化基督教医院,台中栄民総医院での中皮腫検体の収集に続いて,平成22年度には韓国ソウル大学病理学教室の協力を得て,韓国髄膜腫症例の検体を収集した. これまで,悪性中皮腫については,日本(東大,自治,愛知がんセンター)36例,韓国4例,中皮腫細胞株7株のいずれにもSV40の断片は確認されていない.一方,髄膜腫については,日本(東大)162例中0例であったが,韓国33例中1例から検出されたため,韓国ソウル大学の協力により,さらに髄膜腫237症例を検討することとした. SV40の検出:Manfrediらの方法に準拠し(Cancer Res 65:2005),Primer PQ(5027-4911),Primer SV(4476-4372),PrimerN'K'(3106-2966)の三断片の増幅でSV40の有無を検討した. DNA抽出後,cdc25,GADPH断片が増幅可能であった症例は212例で,通常型191例,異型髄膜腫16例,退形成性髄膜腫5例であった.PQ,SV,NK断片は通常型で13,87,4症例,異型髄膜腫で0,8,1例が増幅され,退形成性髄膜腫ではすべて増幅されなかった.通常型,異型いずれも,ほとんどがPQ-SV+NK-症例であり,PQ+SV+NK-症例は7,0例,PQ-SV+NK+症例は2,0例であった.三断片いずれも増幅された症例はなかった.三断片増幅の有無について相互の関連性を統計学的にx二乗検定したが,有意な関連性はみられなかった. 連携研究者:太田聡講師,後藤明輝助教(人体病理学分野)
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