2007 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫の薬剤耐性:検出、同定と遺伝子解析、地域性と時間変化、拡散の予測へ
Project/Area Number |
19406011
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上村 春樹 Nagasaki University, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 休生 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70176296)
金子 聡 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00342907)
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Keywords | 熱帯熱マラリア原虫 / 薬剤耐性 / pfcrt遺伝子 / pfmdr1遺伝子 / インドネシア;ミャンマー:ベトナム:ケニア |
Research Abstract |
熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性株の出現と拡散は、マラリア対策における重大な問題であり、耐性機構を解明して、それを基に耐性を克服しようという試みが精力的に行われている。私たちはそれぞれの地域で用いられている薬剤に対しての有効性を知る、さらに耐性株が存在、出現した場合に速やかに同定する基礎として、熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性に関連する遺伝子の多型を解析し、その時間的、地域的推移を調べている。私たちは、熱帯熱マラリア原虫のクロロキン耐性に重要なpfcrt遺伝子、多剤耐性遺伝子pfmdr1、そしてアルテミシニンとの相互作用が示されている細物∫eβ遺伝子について、遺伝子多型とその時間変化を、インドネシア、ミャンマー、ベトナム、イラン、ケニアのフィールドサンプルで解析し比較しようとしているところである。 今年度はまずマラリア患者からの採血のプロトコールとフォローアップについて、共同研究者、研究機関の人たちとの話し合い、提案を行った。ベトナム、ミャンマーについてはこれらの段階をクリアーしサンプルの収集と解析を開始することができた。インドネシアについては共同研究者の研究機関の同意を待って開始できる段階である。ケニアについては、大統領選挙後の2007年年末からの治安の悪化もあり、マラリアのフィールド研究開始には至っていないが、共同研究者の金子氏がDSS(人口静態、動態システム)の基盤整備をほぼ完了して実際の運用を待つ段階になっている。現地ケニア中央医学研究所のScientific Steering Committee、Ethical Committeeと熱帯医学研究所の倫理委員会へのプロトコールの作成と提出を急いでいるところである。 ベトナム、ミャンマーのマラリア原虫サンプルのpfcrt遺伝子、pfmdr1遺伝子の解析を行い、それぞれの地域でこれらの遺伝子型に違いがあることを確認した。7年から10年さかのぼった過去のサンプルと比較することで、その間の治療薬の使用状況との関連を調べているところである。
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