2008 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫の薬剤耐性:検出、同定と遺伝子解析、地域性と時間変化、拡散の予測へ
Project/Area Number |
19406011
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上村 春樹 Nagasaki University, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 休生 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70176296)
金子 聡 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00342907)
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Keywords | 熱帯熱マラリア原虫 / 薬剤耐性 / pfcrt遺伝子 / pfmdrl遺伝子 / ベトナム:イラン:ミャンマー:インドネシア:ケニア |
Research Abstract |
熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性株の出現と拡散は、マラリア対策における重大な問題であり、耐性機構を解明して、それを基に耐性を克服しようという試みが行われている。私たちはそれぞれの地域で用いられている薬剤に対しての有効性を知る、耐性株が存在、出現した場合に速やかに同定する基礎として、熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性に関連する遺伝子の多型を解析し、その時間的、地域的推移を調べている。熱帯熱マラリア原虫のクロロキン耐性に重要なpfcrt遺伝子、多剤耐性遺伝子pfmdr1.そしてアルテミシニンとの関連が推測されている pfatpase6遺伝子について、遺伝子多型とその時間変化をインドネシア、ミャンマー、ベトナム、イラン、ケニアのフィールドサンプルで解析し比較している。 前年度に引き続きマラリア患者からの採血を行うとともに、保存している熱帯熱マラリア原虫の遺伝子解析を行った。ベトナムの2001-02年と2005-07年のサンプルでpfcrt、pfmdr1遺伝子、抗葉酸剤に対する感受性と関連するpfdhfr、pfdhps遺伝子を解析した。近年のマラリア感染率の著しい低下に伴い、各々の遺伝子で多型の減少とクロロキン感受性(野性型)pfcrt Lys76の割合の増加が認められた。一方、クロロキンを治療薬として使用しているインドネシア、イランのそれぞれ一地方から2004-05年に得たサンプルでは、クロロキン耐性型pfcrt Thr76が大部分で、しかもpfcrt厩遺伝子全体にわたって多型がほとんど認められなかった。これら薬剤感受性と関連する遺伝子の多型には遺伝子型、種類の数に地域による違いが認められるが、それがマラリアの流行度とどのような関連にあるかを知るためには選択を受けない中立の遺伝子の多型と比較する必要がある。研究対象地域から数種ずつ原虫株を選択し、数種類のマイクロサテライトの解析、比較を始めた。
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Research Products
(1 results)