2009 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫の薬剤耐性:検出、同定と遺伝子解析、地域性と時間変化、拡散の予測へ
Project/Area Number |
19406011
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上村 春樹 Nagasaki University, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 休生 長崎大学, 熱帶医学研究所, 教授 (70176296)
金子 聡 長崎大学, 熱帶医学研究所, 教授 (00342907)
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Keywords | 熱帯熱マラリア原虫 / 薬剤耐性 / pfcrt遺伝子 / pfmdr 1遺伝子 / pfdhfr遺伝子 / pfdhs遺伝子 / ベトナム:イラン:ミャンマー:インドネシア:ケニア |
Research Abstract |
熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性株の出現と拡散は、マラリア対策における重大な問題であり、耐性機構を解明して、それを基に耐性を克服しようという試みが精力的に行われている。私たちはそれぞれの地域で用いられている薬剤に対しての有効性を知る、さらに耐性株が存在、出現した場合に速やかに同定する基礎として、熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性に関連する遺伝子の多型を解析し、その時間的、地域的推移を調べている。熱帯熱マラリア原虫のクロロキン(CQ)耐性に重要なpfcrt遺伝子、多剤耐性遺伝子pfmdr1、サルファドキシン・ピリメタミン(SP)耐性に関連するpfdhfr,pfdhps遺伝子の解析とともに、薬剤による影響を受けないマイクロサテライトの解析、比較を行った。 2001-2年と2005-7年にベトナム南部の一地域で収集した熱帯熱マラリア原虫では、pfcrt、pfmdr1、pfdhfr、pfdhps、どの遺伝子においてもかなりの多型が認められた。CQ耐性の特徴であるpfcrt Thr76の割合が2005年以降において減少しているが、SP耐性に関連するpfdhfr、pfdhps遺伝子では耐性に関する遺伝子置換が維持され続けている。ベトナムではCQ、SPの使用を止めていることを考えると、SP耐性型の変異を維持する何らかの背景があることが示唆されることを含めて報告した。インドネシア、イランでは、薬剤耐性に関連する遺伝子にはあまり多型が認められなかった。しかしインドネシアサンプルのマイクロサテライト解析の結果では、それぞれの領域に薬剤耐性関連遺伝子の数倍以上の多型が認められ、薬剤耐性遺伝子型の強い選択圧が示唆された。ミャンマーサンプルの解析を完了することが出来なかったが、薬剤耐性関連遺伝子、マイクロサテライトともに多型が示唆され国内地域による比較を行っている。
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Research Products
(1 results)