2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国南部のEBウィルス関連上咽頭癌発症と環境因子の修飾作用に関する分子疫学的研究
Project/Area Number |
19406021
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
村田 真理子 Mie University, 大学院・医学系研究科, 教授 (10171141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 伸二 大学院・医学系研究科, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10277006)
平工 雄介 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30324510)
馬 寧 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30263015)
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Keywords | Epstein-Barrウィルス / 上咽頭癌 / 中国南部地域 / 感染・炎症関連発がん / 8-ニトログアニン / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / 8-oxodG / バイオマーカー |
Research Abstract |
Epstein-Barrウイルス(EBV)感染は、すべての人種に広く蔓延しており、大部分のヒトは成人に達するまでにEBウイルスの感染を受け、終生保持し続けることが明らかになっている。中国南部においては、EBウイルスの感染率が極めて高く、同時に上咽頭癌の発生率が異常に高いことが知られている。感染・炎症関連発がんにおいては、炎症細胞および上皮細胞などから生成される活性酸素・窒素種によるDNA損傷が重要な役割を果たすと考えられる。8-ニトログアニンとは、活性窒素種により生成される変異誘発性ニトロ化核酸塩基である。本研究では、中国南部の大学病院を受診した上咽頭炎患者および上咽頭癌患者の生検・手術標本を得て免疫組織化学染色を行い、8-ニトログアニンおよび酸化的DNA損傷の指標である8-oxodGの生成部位を解析した。上咽頭癌の患者の標本において、腫瘍細胞と浸潤している炎症細胞に8-ニトログアニンと8-oxodGの強い免疫反応が観察された。8-ニトログアニンとiNOSの蛍光二重染色では、癌細胞に8-ニトログアニンとiNOSの発現がみられ、これらが共存していることが確認された。粘膜下層の大量な炎症細胞には強い8-ニトログアニンの免疫反応が観察された。8-ニトログアニンの染色性は、EBV感染のない咽頭炎、EBV感染を伴う咽頭炎、上咽頭癌の順に強くなり、統計学的に有意な差を認めた。8-oxodG、iNOSについても同様の傾向を認めた。本研究で、8-ニトログアニン生成がEBV感染による炎症から発がんに至る過程で有意に増加することを示した。8-ニトログアニンは種々の感染・炎症関連発がんのリスクを早期に評価する有効なバイオマーカーになりうると期待される(Int J Cancer,in press)。
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Research Products
(9 results)