2007 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における新興感染症に対する早期警戒システム構築のための基礎研究
Project/Area Number |
19406023
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
押谷 仁 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (80419994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 陽 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20443989)
神垣 太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80451524)
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Keywords | 感染症 / 公衆衛生 / ウイルス |
Research Abstract |
近年のグローバリゼーションや交通網の発達は、感染症対策に関する研究でも大きな転換点となっており感染症アウトブレイクの初期の兆候をすばやく検出する早期警戒システム(Early warning system)およびそれを受けた迅速な初期対応が感染拡大とならないために不可欠であると考えられる。平成19年度はフィリピン共和国を研究地域として、途上国において安全で効果的な検体輸送の可能性について検討するとともに、途上国における感染症サーベイランスシステムの現状を整理した。検体輸送の可能性については特に市販されている検体の乾燥保存キットのうちRNA抽出データのある核酸保存濾紙(FTA paper, Whatman)を利用したインフルエンザウイルス検出の感度試験を行った。キットの操作手順書に従い1×10^5pfu/mlというウイルス濃度を滴下したのちにRealTime PCRを施行したが検出効率が悪いことが判明した。今後は、punchingしたディスクの枚数を増やすことなどを含めて検討する予定である。世界保健機関によれば2005年のフィリピンにおける罹患率上位10位のうち肺炎(人口10万あたり828人)、気管支炎(人口10万あたり739人)およびインフルエンザ(同487人)が含まれており、急性呼吸器感染症のdisease impactが大きいと考えられる。一方でその病因を明らかにしてゆくことは早期警戒システムの構築に重要であると考えられ、とくにRNAウイルスの同定に向けた検体の輸送系を確立することは意義があると考えられる。
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