2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500012
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石原 哉 Japan Advanced Institute of Science and Technology, 情報科学研究科, 准教授 (10211046)
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Keywords | 数理論理学 / 数学基礎論 / 構成的数学 / 逆数学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、既存の研究の問題点を解決するため、直観主義論理に基づき、関数の存在公理を最小限に抑えた、構成的逆数学のための体系を、構成的数学における逆数学の実践を通して、調査・提案し、メタ数学的な考察とケーススタディを通して、評価・改良することである。 平成21年度は、構成的逆数学の視点から、主に単調収束定理(Monotone Completeness Theorem)の研究を行った。単調収束定理は、古典的逆数学において算術的内包公理(ACA)と同値であることが知られており、また可算選択公理を仮定する構成的数学ではLPO(the limited principle of omniscience)と呼ばれる非構成的(論理的)原理と同値であることが知られている。一方、古典的逆数学ではACAと同値であることが知られている実数の完備性は、可算選択公理を仮定する構成的数学では証明できる。 この古典的逆数学と構成的逆数学の対応関係の崩れを詳細に分析した。その結果、弱Cauchy性の概念を導入することにより、(1)有界単調数列は弱CauchyであることとLPOより若干強い非構成的(論理的)原理が同値であること、(2)弱Cauchy列はCauchy列であることとある種の可算選択公理が同値であること、(3)Cauchy列が収束することは可算選択公理を仮定しない構成的数学で証明できることを示した。このことより、単調収束定理は、古典論理で証明できる論理的な非構成的原理、古典論でもACAがないと証明できないある種の可算選択公理、可算選択公理を仮定しない構成的数学で証明できる定理、に分解されることが明らかになつた。 この成果により、構成的数学の有効性が明らかになったのみでなく、今後このような分析を他の様々な数学定理に対しても行う必要性と意義が明らかになった。
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