2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500015
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
山上 智幸 The University of Aizu, コンピュータ理工学部, 上級准教授 (80230324)
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Keywords | 量子暗号 / 量子対話証明 / 量子計算モデル / 量子アルゴリズム / 安全性 / 高速通信ネットーワーク / 量子記憶 |
Research Abstract |
高速通信ネットワーク網の国際的規模での整備が進む中、ハッカーなどの手によって情報通信の安全性(セキュリテー)が脅かされている。この研究では、この様なネットワーク網へのハッカーの侵入を阻止すると共に、ユーザーの個人情報の漏洩を防ぐ汎用性のある暗号システムを考察し、その妥当性を検証することを目標とする。昨今注目を集めている量子力学を応用した新しいタイプの計算・通信モデルに基く『量子暗号』の中でも、特に『量子対話知識証明』と呼ばれる暗号系の構築と運用効率並びにその安全性を解析するのが目的である。現在の技術で実現できる量子計算はその能力に限界があるため、この研究では量子記憶容量や量子通信量に制限のある量子暗号モデルを取り扱っているのが特徴である。平成19年度の研究では、量子記憶媒体を持たない量子計算モデルの計算能力を調べ、単独では能力に劣っていてもネットワーク管理者が通信を行うことで飛躍的にその認識能力が増大することを証明した。更にこのモデル上で、ネットワーク管理者がユーザーに偽装したハッカーを退ける量子アルゴリズムの開発を進めた。また直感とは異なり、複数の攻撃者を同時に取り扱えるシステムでは、量子記憶媒体の無い計算能力が著しく劣るモデルを用いても、複数の証明者を効率良く利用することで優れた安全性を維持でき、暗号として充分機能することを示した。平成19年度で目標とした量子証明に関する基礎固めは着実に進み、次年度への足掛りを築いた。また、初期の研究成果は、6月にチェコで開催された量子情報のワークショップ(CEQIP)で発表された。
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