2007 Fiscal Year Annual Research Report
型つきラムダ計算に基づく構文解析・生成のDatalogへの帰着
Project/Area Number |
19500019
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
金沢 誠 National Institute of Informatics, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (20261886)
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Keywords | 構文解析 / 文生成 / Datalog / LOGCFL / 型つきラムダ計算 |
Research Abstract |
本研究の対象は、「ほとんど線形」なラムダ項のみを許す2階抽象的範疇文法の対によって表現可能な意味論つきの文法に対する構文解析と生成の問題である。これらの問題は、いずれもデータベース問い合わせ言語Datalogの問い合わせに帰着することができるため、多項式時間で計算可能であることが研究代表者のこれまでの研究でわかっていた。本年度の研究で、この帰着がlogspaceで計算可能であり、帰着の行き先であるDatalog問い合わせが計算量クラスLOGCFLに属することを示し、結果として特定の文法に対する構文解析・生成の問題がLOGCFLに属することを示した。これは、これらの問題が、属する計算量クラスの観点からは、文脈自由文法に対する構文解析の問題と同等の困難さしか持たないことを意味する。この成果は、チェコ共和国で開かれた国際会議ACL2007で発表した。この論文の雑誌投稿用のバージョンはまだ執筆中である。 Datalogへの帰着は、構文解析・生成の問題を解くアルゴリズムにDatalogの効率的評価アルゴリズムが応用できることを意味する。特に、マジクセット書き換えという手法を応用して、構文解析・生成のEarley流アルゴリズムを得ることができるが、構文解析の場合、それだけでは入力単語列を左から右に処理し、最も早い段階でエラーを検出するというcorrect prefix propertyを満たすことができない。この問題について、対象を多重文脈自由文法に限定して検討し、マジックセット書き換えの前にもう一つの単純な書き換えを適用することによってcorrect prefix propertyを満たす構文解析アルゴリズムを導くというアイデアを得た。この成果は平成20年度に国際会議で発表する予定である。
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