Research Abstract |
本研究では,マルコフモデルを用いた超高精細動画像信号の高圧縮可逆符号化についての検討を行っている。研究初年度である本年度は,超高精細動画像信号に対してマルコフモデル符号化を適用する際に解決しなければならないいくつかの問題点を明らかにし,これらの課題のうち以下の4点について検討し,その解決を図った。 課題1. 膨大な計算量,処理の高速高機能化,膨大な必要メモリ空間の必要性による実現の困難性 課題2. マルコフテーブルがスパースになることによる統計量ベース符号化の困難性 課題3. 初期テーブルの設定問題とマルコフテーブルの動的構成化問題 課題4. マルコフモデルエントロピー実現のためのエントロピー符号構成の問題 まず,課題1.は,本研究申請者らが参画している,本学における重点推進研究テーマである「次世代アプリケーションのための高性能計算機システム」における研究課題にもなっており,超並列処理,自己最適化,演算高速化による解決を検討した。この問題については,次年度の継続課題でもある。課題2.は,符号化画素数に比べ,コンテキストの出現可能種類数が多いことから生じる問題であるが,超高精細動画像信号を対象にした場合には統計ベース符号化が成立する可能性が高くなることを明らかにした。さらに,同一シーンの間は,各状態の要素の集中度は大きくなることが予想され,マルコフモデル符号化の実現可能性は静止画像の場合に比べはるかに高くなることが考えられることから,統計的性質を調査しマルコフモデル符号化の実現可能性を明らかにした。課題3および課題4については,われわれがこれまで静止画像の可逆符号化問題で培ってきた知見をベースに問題点を明らかにし,その解決策を提案した。具体的には,算術符号の動的適応化を検討し効率の高い符号を提案した。
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