Research Abstract |
本研究では「遠隔眼科診療ロボットのインタラクションデザイン」を具体的な事例として,ユビキタス・コンピューティング分野におけるデザイン手法を実現し,その評価を行う.デザインの初期段階において,システムの使い方をストーリ(シナリオ)として生み出し,それをペーパープロトタイピング手法で速やかに評価し,その結果をもとに,新しいストーリを生み出すという繰り返しのプロセスを支援する.この活動を通して,ペーパープロトタイピング手法を,ハードウェアが関与するSolid User Interface (SUI)に適用することを試みる. 研究期間初年度には,申請者が従来研究で遂行しているシナリオに基づく設計手法を基礎として,遠隔眼科診療ロボットのインタラクションの設計を行い,あわせてインタフェースのペーパープロトタイプと動作バージョンのプロトタイプを構築した.研究期間最終年度である平成20年度には,初年度に構築したプロトタイプの評価から研究活動を開始し,この結果をもとに,より具体的な利用シーンを想定してシナリオの作成を行った. 作成したシナリオでは,プロジェクト開始時に想定していた利用シーン(通常シナリオ)に,問題状況をその解決法を明らかにするシナリオ(問題シナリオと解決シナリオ)を追加することによって,利用状況の多様性を追加表現した.以上の研究活動は,(1)シナリオの作成,(2)シナリオに基づくペーパープロトタイプの構築,(3)動作バージョンのプロトタイプへの変換,(4)評価結果に基づくシナリオの改良という繰り返しのプロセスの一部を実施したことになる.これらの活動を通して,ペーパープロトタイピング手法のSUIへの適用可能性,及び,事例を通したシナリオの進化プロセスを明らかにすることができた.
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