| Research Abstract |
研究計画で,初年度である本年度は個人単位の情報(プライバシー)が空間問い合わせによって,どの程度細かいレベルまで開示(あるいは隠蔽)されるかという「Compromise問題」に取り組むとしており,予定通り,この問題とその周辺問題に関する研究を進めた.
この研究では,空間情報を含むデータは基本的に2次元であるとみなしているが,まずは2次元平面上の視点で集計されたデータからの知識発掘手法に関してフィージビリティースタディを開始した.個人情報(この場合は,プライバシーと呼ばれることが多い)を保護できているかどうかの基準としては,一般的な(空間情報ではない)データベースでは「K匿名性」,「L多様性」(K,Lはパラメータで整数値)という指標が代表的であるが,平面上の区間問い合わせ,および,領域問い合わせにおけるこれらの基準の保証技術に着目したアルゴリズムを設計している.また,単独の領域問い合わせではなく,空間データと関連する属性に対する(空間とは関係のない一般的な)問い合わせ結果との組み合わせで個人情報が推定できてしまう恐れがあることが,このフィージビリティースタディーをとおして明らかになっているため,この問題にも今後の研究をとおして対処する必要があると考えている.
本年度は,Compromise問題に関する直接的な成果発表には至っていないが,この問題に関連した,領域計算技術,データの前処理技術に関して,関連する学会で発表,および,投稿をした.
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