2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳の時系列学習における対称および非対称STDP学習ルールの役割
Project/Area Number |
19500126
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 初男 Kyushu Institute of Technology, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (00108664)
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Keywords | 嗅内皮質 / 神経回路網モデル / 時系列学習 / 海馬歯状回 / 顆粒細胞モデル / 感覚情報統合 / STDP学習ルール |
Research Abstract |
1.ループ回路を有する嗅内皮質神経回路網の位相コーディング 研究計画に従って、時系列学習の基礎であるθ位相コーディングの機構を説明できる嗅内皮質-海馬ループ回路を持つ嗅内皮質II層神経回路網モデルを示し、さらに、時系列学習に有効だと考えられている非対称STDPルールではなく、対称STDPルールを用いると位相コーディングがうまくできる原因が、対称STDPルールの正のスパイクタイミング領域に存在するLTDウインドウにあることを突き止めた。これにより、今まで良くわかっていなかった正のスパイクタイミング領域にあるLTDウインドウの役割を明確にすることができた。 2.嗅内皮質→歯状回シナプスの学習ルールと感覚情報統合:モデルの構築 研究計画に従って、歯状回顆粒細胞の4コンパートメントモデル(3樹状突起コンパートメント+1細胞体コンパートメント)を構築した。顆粒細胞の遠位樹状突起に付いている外側貫通路シナプスと中位樹状突起に付いている内側貫通路シナプスに非空間情報を担うランダムパルス列と空間情報を担う周期的パルス列をそれぞれ加えると、スパイクタイミングに従うシナプスであるにも関わらず、空間情報が通る内側貫通路シナプスだけが強化されることを明らかにした。これは、匂いなどに関する非空間情報が支援して場所などに関する空間情報の通路を選択的に強化する神経機構を示したものであり、非空間情報が入力されるシナプスより空間情報が入力されるシナプスの方が細胞体に近いという顆粒細胞の空間的構造が重要に関わっていることを強ぐ示唆するものである。
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