Research Abstract |
本研究の目的は,客観的信頼性を確保しつつ,主観的興味に合致する有益なルールを得られるような知識発見支援システムの開発である.具体的には,後処理段階で得た情報をデータマイニング段階にフィードバックすることで,ドメイン専門家が玉石混淆状態にあるルール群を評価し新知識を導出する作業を助け,客観的信頼性と主観的興味のバランスを考慮した学習基準をDMアルゴリズムに与える仕組みを目指す.この目的のもと,以下の開発ステップを年度ごとに実施することにした.ステップ1:客観的信頼性を計算機上で扱えるように定式化し,知識発見支援システムに組み込む.ステップ2:主観的興味を計算機上で扱えるように定式化し,知識発見支援システムに組み込む.ステップ3:ドメイン専門家のルール評価過程を明示的で再現性がある形式で記録しながら,客観的信頼と主観的興味のバランスを調整する機能を実現する. 今年度は主にステップ1を実施した.多くの関連研究において,客観的信頼を定式化した指標(興味深さ指標)が提案されている.我々は興味深さ指標の文献調査を追加し,過去に開発済みの興味深さ指標ライブラリに新規の興味深さ指標を加えた.また,指標ライブラリの興味深さ指標の一部はプロブラムソースが十分汎化されていないため,この点の改善も試みた,そして,本システムの本体部分のフレームワークを設計し,これに,DMアルゴリズムモジュール(決定木学習),主観的興味推定モジュール(線形近似),最適化モジュール(インタラクティブ進化計算)の各々を乗せられるように実装を進めた.開発に加え,興味深さ指標と主観的興味の関係を調べた実験の正果も得られたため,この成果は論文・学会発表で公表した.来年度は,各モジュールの開発とフレームワークへの組込み,および,ステップ2の開発に着手する予定である.
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