2009 Fiscal Year Annual Research Report
声の老化に関する音響学的、生理学的及び心理学的研究
Project/Area Number |
19500155
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
粕谷 英樹 Utsunomiya University, 工学研究科, 名誉教授 (20006240)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新美 成二 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (00010273)
森 大毅 宇都宮大学, 工学研究科, 准教授 (10302184)
|
Keywords | 声の老化 / 声質 / ピッチの年齢変化 / 声のジッタ / 声のシマ |
Research Abstract |
1.加齢とピッチレンジ、ピッチ曲線の自然下降、及び声門音源波形の平均スペクトル特性との関係について調査した結果、個人差はあるものの、加齢に伴って、典型的にはピッチレンジは狭くなり、自然下降成分は小さくなり、平均スペクトルの高周波数成分は弱くなることが分かった。また、6歳からのピッチ周波数の年齢変化について共時的な調査を行い、代表者の約半世紀前の同様の調査資料と比較したところ、変声期が1年早くなっていることも明らかになった。 2.加齢とともに、特に男性の喉頭部位が下降し、それに伴って上部喉頭腔が長くなる。これによって、母音/a/の第1フォルマント周波数が顕著に低下する傾向にあることが分かった。シミュレーションによる検証実験が今後の課題であり、引き続きその研究準備を進めている。 3.合成音声を用いた知覚実験による声の老化と音響関連量の関係については、女性ではピッチ周波数の低下、また、男性ではピッチの自然下降成分の低下、また両性について音源のジック、シマ、喉頭雑音の量の増大がそれぞれ老化の知覚印象に寄与することが分かった。 4.従来広く指摘されていた女性のピッチ周波数の低下と女性ホルモンとの関係について、大量の音声資料に基づいて検証した結果、必ずしも明確な関係は見いだせず、むしろ声帯部位が浮腫性を帯びてくることが主な原因と推定された。また、声門音源波のゆらぎのうちで、シマは加齢に伴って増大するが、ジックは比較的安定しているという興味深い結果が得られているが、この理由に関しては引き続きシミュレーションなどによって検討する必要があると思われた。 5.成果の一部は、Interspeech2010及び米国音響学会誌に発表する準備を進めている。
|
Research Products
(5 results)