Research Abstract |
本課題は,震災などの災害発生時に,被災地情報を収集するために,複数の移動体(ロボットなど)を用いて被災後に自律的かつ適応的にセンサノード(以下ノード)を配置して,センシングとネットワークの機能を維持しつつセンサネットワークを展開するシステムを提案し,そのためのノードおよびノード配置手法の開発を行った.被災状況に適応的にセンサネットワークを展開することにより,被災地情報収集,情報収集時の人的資源の節約および二次災害等による人的被害の軽減などに有用な情報支援システムの構築を目指している. 被災地では,情報収集のために精密な位置決めを要するノード設置や,ロボットや人が進入できない隔絶空間へのノード配置は困難なため,ロボットからノードを転がす直接配置と隔絶空間への投郷配置を提案した.これら配置方法では,配置時の落下衝撃や配置後のノード姿勢が予測できないため,前年度に塩化ビニル素材を用いたバルーン状の緩衝機構と,配置状態によらず全方位画像情報を取得可能なノードを試作した.これに基づき,今年度は,緩衝機構の設計・評価手法の検討と投擲配置機構の試作を行った.塩化ビニル等の柔軟素材を用いた緩衝機構については設計論が確立されていないため,エアクッション構造を持つ緩衝機構について,ノード重量,内部に加わる加速度,内部空気圧等をパラメータとした設計モデルを構築した.モデルに基づき試作した緩衝機構を用いて落下試験を行い,ノード落下時の最大加速度や高速度カメラにより落下状態を測定し,耐衝撃性能を定量的に評価した.また,緩衝機構がノードの全周囲を覆うため,ノードの通信性能への影響について検証し,ノード間通信時の電界強度,スループット,パケットジッタの計測から通信性能に機構が影響しないことを確認した.ノードの投郷配置には,空気圧によりノードを10[m]以内の距離に投擲可能なカタパルト型式の機構を検討し,試作した.
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