Research Abstract |
本研究は「音声モンタージュ」という構想を実現するための要素研究として行うものであり,聴取した音声の非言語情報・パラ言語情報の記憶内容を聴取者から取り出すための表現語体系の確立を目指している.3年間で,声質,発話様式,そして聴取者の価値観など,音声に関係する日常表現語を抽出し,音声の聴取印象の表現語の体系的な分類・記述を行うことを目的とする. 本年度は,昨年度までに行った第1段階(表現語の収集),第2段階(了解性,同義性の調査),第3段階(表現語の凝縮)の成果を基に,第4段階(表現語間の関連),第5段階(表現語の分類)に着手した. これまでの研究成果である凝縮した表現語群を用いて,自分の声を評価する自己評価実験を行った,これは,当初予定していた表現語対のように表現語間の関係を固定する必要はなく,自由に表現語間の関連を調べることが可能な方法であり,さらに,評価者間のばらつきを調べることで,階層構造についても言及できる方法である.本学学生を対象に行った評価実験で得られた20代の大量のデータを分析した上で,仙台中央警察署の協力の下,年齢を考慮した詳細な評価実験を行った.その結果から階層構造を考慮した表現語の分類・記述を行った. 一方,聴取者の価値観に影響を受ける表現について,「話者認識に有効な表現」という観点から,聴取者側の要因について,好悪や性格を考慮した話者識別実験を行った.その結果,予想以上に好悪の影響は大きいという結果が示された, なお,表現語と音響関連量の関連を調べるため,当初,新たな音声合成技術の開発を計画に含めていたが,和歌山大学の河原教授の開発した技術(STRAIGHT)が要求を満たすものであり,使用させて頂くことにした.今後,本助成で得られた成果を用いて,非線形な対応を明らかにし,言葉による詳細な音声の再現方法についても検討していきたい.
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