2007 Fiscal Year Annual Research Report
没入感のある空間共有のための3次元音響技術に関する研究
Project/Area Number |
19500178
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
柳川 博文 Chiba Institute of Technology, 情報科学部, 教授 (70296309)
|
Keywords | 狭帯域パルス / Narrow Band Pulse / 信号間レベル差 / 信号間時間差 / ICLD / ICTD / 頭部伝達関数 |
Research Abstract |
平成19年度は研究計画に沿って以下の5項目について研究を行った. (1)信号についての検討:本研究で用いる1/4オクターブ狭帯域パルス(NBP)とスペクトルが同じ1/4オクターブバンドノイズ(NBN)で,同様な真横音像定位実験を行い,NBPの方が信号間レベル差(ICLD),信号間時間差(ICTD)の探索が容易で,音像の質も良好であることを明らかにした.このことは,音像定位に信号の過渡的性質が関係していることを伺わせ,今後,あらたな聴覚モデルを提供する可能性を示している.(2)間接音の影饗:残響のある部屋で,本方式による音像定位への影響を調べた.その結果,残響音の総エネルギーではなく,初期反射音の内,特に横方向反射音が影響することが判明した.ただし,反射音エネルギーが直接音より小さい場合は,そのまま反射音がある状況で本手法によりおおむね真横音像定位が可能であることを見出した.このことは,大半のユーザーは自分の聴取環境を何ら変えることなく,本方式を利用できることを示唆している.(3)許容幅:真横音像定位する時のICTD値には,主に低周波数域では中心値にたいしおよそ±70%程度の幅があることが判明した.この現象はこれまでの頭部伝達関数と音像定位方向との関係では説明困難である.今後,この要因を解明して行けば,前述(1)の内容と合わせ新たな聴覚モデルに結びつくと考えられる.(4)個人差:横方向反射のある環境で探索されたICLD,ICTDの個人差を調べたところ,分散はあるものの,代表値ですべてのユーザーに有効な値となる見通しを得た.(5)帯域幅:信号帯域幅を1/12オクターブまで狭めても,真横音像定位が可能であった。このことは2つのスピーカの垂直2等分線上に限定されている聴取領域の拡大に応用可能である.
|
Research Products
(3 results)