Research Abstract |
平成20年度は研究計画にはなかったが,(1)横方向定位の個人差について調べ,およそ1kHz以下では,ICLDのばらつきが小さく,一方最適ICTDの値は低域に向かって大きな幅を有することが分かった.これにより,2つのスピーカの位置関係が決まれば1kHzでは最適ICLD,ICTDの探索が不要となる可能性が見いだされた.(2)音楽信号の横方向定位実験を行った結果,個人差はあるものの,横方向定位し,広いスペクトルの信号についても,各帯域でのICLD,ICTDを最適化すれば,予行法定位する見通しが得られた. 以下,当初計画に沿って,(3)反射音の影響を新たに鏡像音源により調べ,50cmの位置に横壁がある想定では,反射音の影響はさほどないが,最適ICTDの幅の中に定位が劣化する値が存在することが明らかになった.(4)信号の包絡線と音像定位について実験を行ったところ,オンセットの過渡的度合いが強くても,定常部があると音像定位が不明瞭になり,緩やかであっても振幅変化のある信号の方が音像定位が良好であることが判明した.(5)聴取領域拡大のために,中央位置のほかに左右5cmずれた位置で横方向定位するICLD,ICTDを求めておき,1/4オクターブの帯域をさらに3分割し,各1/12オクターブのICLD,ICTDをたとえば中心周波数の低い方から,左位置で最適なICLD,ICTDとし,以下同様に中央,右についてそれぞれ最適な値にして,1/4オクターブのバンドパルスを試聴したところ,いくつかの周波数では,中央とどちらか片側にずれた位置でも横方向定位することを確認した.
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