2009 Fiscal Year Annual Research Report
没入感のある空間共有のための3次元音響技術に関する研究
Project/Area Number |
19500178
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
柳川 博文 Chiba Institute of Technology, 情報科学部, 教授 (70296309)
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Keywords | ICLD / ICTD / 適応フィルタ / 没入感 / 聞き取りやすさ / 複数話者 / 同時発話 |
Research Abstract |
1. 音像定位制御フィルタの方式検討 ICLDとICTDを伝達関数の振幅項と位相項とした音像定位制御フィルタ(F1)と,それを適応フィルタで近似させた音像定位制御フィルタ(F2),さらにこれまでのバンドパスフィルタによる音像定位制御フィルタ(F3)の3者を比較した.その結果,F3は帯域間の境界周波数を中心として位相周波数特性にリンギングが見られ,所定のレベルに押さえるためにはフィルタ長が4096タップ必要であること,F1では1024タップでも十分な特性となること,F2ではタップ長の節減など適応フィルタにした効果が得られないことなどが明らかとなった.音像の質を比較試聴した結果,真横定位の状況は殆ど同様であったが,音像の幅はF1が最も狭く良好であった. 2. 本研究の音像定位領域拡大方式(AVS)による複数話者音声の聞き取りやすさ 2スピーカ再生(S1),3スピーカ再生(S2),3スピーカ再生と音像定位領域が等価な2スピーカAVS方式(S3)の3者で話者3名の同時発話音声の聞き取りやすさの比較を行った.その結果,S1は最も悪く,S3,S2の順に聞き取りやすいという評価となった.有意差検定の結果S1とS2,S3には有意差があり,S2とS3には有意差がないことが判明した.これにより,本研究の方式である2スピーカAVS方式は2スピーカ再生より明らかに優れ,S3と同等な性能であることが証明された. 以上,本研究により没入感のある空間共有のための3次元音響の技術仕様が明確となり,対話相手が眼前に並んでいるかのような聞き取りやすい音声対話が可能であることを示すことができた.
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