2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500190
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
郡司 幸夫 Kobe University, 理学研究科, 教授 (40192570)
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Keywords | 主観的時間 / 階層構造 / A系列・B系列 / アメーバ / 自己言及 / フレーム問題 |
Research Abstract |
主観的時間を理解しようとするとき、客観的出来事の系列と、これに対する解釈という二つの階層が要請されることになる。脳科学、認知科学などの研究者も、この二つにおける結び付けとそのミスマッチという形で、デジャブなど主観的時間のメカニズムを解読しようとしている。しかし重要な点は、二つの階層が独立に維持されながら、ときとして混同され、客観的出来事の系列と主観的解釈との区別が不分明となり、両者の交代さえ起こりえるという点にある。 本研究では、この二つの階層の独立性と混同の共立というメカニズムを、三つ方向からアプローチした。 第一に、出来事系列と主観的解釈とを、順序集合と、それを粗視化した順序集合として形式化し、両者の相互作用を提案したアプローチである。二つの相互作用が実装されることで、時間論において述べられているA系列、B系列の相互作用という概念が持ち込まれ、これによって離人症における時間やデジャブ、時間遅れ適応による因果関係の逆転知覚など、説明可能となることが示唆された。 第二に、二つの階層がビット列とその解釈という形式で表され、ここに両者の混同と区別をもたらす第三の変換が導入され、その意義が唱えられた。二つの階層が混同されるだけでは、矛盾やその力学系的表現であるカオスがもたらされるだけであるが、第三の変換によって、カオスと構造とが共立するような時間が認められた。 第三に、二つの階層が「わたし」や「現在」を全体として構想する視点と、局所的に張り合わせる視点の齟齬という形式で与えるモデルが構成され、「わたし」の形式をアメーバのような生物ですら持ちえるかの検討が始まった。今後、このモデルにおいて「現在」が定義され、生物における予期、予測などの概念が論じられる予定である。
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Research Products
(5 results)