2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500190
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
郡司 幸夫 Kobe University, 理学研究科, 教授 (40192570)
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Keywords | 主観的時間 / A系列・B系列 / 因果関係 / アメーバモデル |
Research Abstract |
主観的時間を理解しようとするとき、客観的出来事の系列と、これに対する解釈という二つの階層が要請される。重要な点は、二つの階層が独立に維持されながら、混同され、客観的出来事と主観的解釈との区別が不分明となり交代さえ起こりえるという点にある。 本研究では、この二つの階層の独立性と混同の共立というメカニズムを、三つ方向からアプローチした。第一に、出来事系列と主観的解釈とを、順序集合と、それを粗視化した順序集合として形式化し、両者の相互作用を提案したアプローチである。二つの相互作用が実装されることで、デジャブ、時間遅れ適応による因果関係の逆転知覚などについて、説明可能となることが示唆された(郡司2008、時間の正体、講談社としてその一部公表済み。およびGunji et al.2009(physicaD)) 第二に、二つの階層がビット列とその解釈という形式で表され、ここに両者の混同と区別をもたらす第三の変換が導入され、その意義が唱えられた。二つの階層が混同されるだけでは、矛盾やその力学系的表現であるカオスがもたらされるだけであるが、第三の変換によって、カオスと構造とが共立するような時間が認められた(BioSystems、 PhysicaDで公表ずみ)。 第三に、二つの階層が「わたし」や「現在」を全体として構想する視点と、局所的に張り合わせる視点の齪齬という形式で与えるモデルが構成され、「わたし」の形式をアメーバのような生物ですら持ちえるかの検討した(J. Theor. Biol.で公表済み)。この研究もまた、広義の主観的時間と客観的時間の相互作用を意味し、齪齬の内在が、適応的計算と探索の両義性をもたらすことを示している。
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Research Products
(5 results)