2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域メディアの市民編集の研究-「笠懸公民タイムス」を事例として-
Project/Area Number |
19500208
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
森谷 健 Gunma University, 社会情報学部, 教授 (10230161)
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Keywords | 人文社会情報学(情報社会学) |
Research Abstract |
これまで断片的にしか把握されていなかった「笠懸公民タイムス」の市民編集について、創刊当時から廃刊までの全期間について検討できた。全期間を把握すると、対象地である笠懸村の都市化の進行と全国的な社会教育制度の整備に即応する形で、大きく3つの市民編集の形態とその変遷を見ることができた。 また、編集委員へのアンケート調査とインタビューを実施し、編集に関わった市民の意識を把握できた。これによれば、地域メディア編集への関与は、単にメディアにかかわる意識だけではなく、むしろ、その地域社会への関与態度を形成する可能性に注目すべき事が明らかとなった これらについては、報告書を作成し、関係者や群馬県内関係機関に配布した。 さらに、市民編集を歴史的に遡及する試みとして、長野県内に現地調査を実施し、今後の研究への糸口を見出した。具体的には長野県飯田市周辺で発行され、「笠懸公民タイムス」と同様に長い歴史を有する公民館報の前身として「時報」・「村報」が存在しており、それらと市民編集の関連を検討することが今後の研究に求められることが明らかとなった。 これらから少なくとも公民館報という紙メディアでは、市民編集の歴史を、60年前にまで遡ることができ、その萌芽的な形態はさらにそれ以前にまで遡る可能性があることと、また、地域メディア研究が、直接的にメディアに係るものだけでなく、メディアの置かれた地域社会の状況や全国的動向からのアプローチによっても可能であることが示された。
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