Research Abstract |
認知言語学の領域では重要性が指摘されているものの,創造的思考としてこれまで具体的には明らかにはされてこなかった,概念合成により新しい概念を創出する思考のメカニズムとその特徴を明らかにする目的で,創造的と解釈の課題の比較実験と分析により,デザインの創造の思考過程の特徴を抽出した.特に,デザインという創造的思考プロセス中での「概念の組み合わせ方」に着目し,どういうときに,どのような創発がおきるかをとらえ,そのメカニズムを追究した.新規性の高い概念の創出に至る概念間の組み合わせのパターンと,その合成の過程について,詳細に検討した. また,デザインのコンセプト生成の事例を収集し,発想に至った経緯や実際にどのような評価を得ているのかについて,調査を行い,上記の実験と対照することで,より具体的に概念生成の方法を検討し,どのように体系化ができるか,議論を展開した.その結果,二つの概念の差異性を認識することが,創造的な概念融合を導く可能性があることが分かった.得られた知見は,創造的な認知プロセスの特徴に接近するものであり,独創性に富むデザインの発想を支援する方法論としての応用についても検討された. 研究の成果は,国内では日本認知科学会,日本デザイン学会の大会,国際学会においてはDesign Computing and Cognition 2008, International Design Research Conference 2008(英国)で発表し,当該領域における世界の第一線の研究者たちと意見交換を行った.また,研究結果の一部を『認知科学』他,国内の研究誌に公開し学術的に貢献した.
|