2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500225
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田 亮 Nagoya Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 准教授 (50303920)
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Keywords | 社会的知能 / 義務的推論課題 / 利他性 / 非言語的手がかり |
Research Abstract |
本研究の目的は,人間における社会的知能の構造と機能について,実験的手法を用いて検証することである。今年度は,Wason選択課題を用いた社会的交換モジュールの構造についての検証と,動画を用いた利他性の信号についての実験を行った。Wason選択課題については,裏切り者検知課題と共有規則課題を組み合わせたかたちの義務的推論課題を作成し,大学学部生を対象に実施した。単純な裏切り者検知課題や共有規則課題における結果と比較したところ,適応的なカード選択の割合が有意に増加していた。これは,社会的な交換と集団関係を処理するメカニズムが独立して働いていることを示唆する結果である。このようなかたちでの検証が行われたのは初めてであり,社会的知能の構造について貴重な知見を付け加えるものである。また,利他性の信号についての実験では,まず被験者集団に利他性を測定するテストをし,上位と下位の数人を選出した。それらの人物との会話場面を録画したのち第三者に見せ,音声なしの状態で動画の人物の利他性を評価してもらった。その結果,非言語的な手がかりから人物の利他性をある程度推測できることが示された。さらに,動画を細かく分析したところ,利他的な人物は笑顔あたりの時間が短いことが明らかになった。評価者自身の利他性についても測定したが,評価者の利他性は推測に影響していなかった。利他性についての非言語的な手がかりがあることはこれまでの研究においても示されているが,評価者の利他性を考慮したのは本研究が初めてである。
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Research Products
(4 results)