2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500225
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田 亮 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 准教授 (50303920)
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Keywords | 社会的知能 / 利他性 / 非言語的手がかり / 記憶バイアス |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間における社会的知能の構造と機能について、実験的手法を用いて検証することである。今年度は、動画を用いた利他主義者の検知と記憶についての実験を行った。まず、昨年度に作成した利他主義者と非利他主義者の動画を用いて、被験者に動画の人物を相手とした分配委任ゲームを行ってもらった。その結果、利他主義者の方が非利他主義者よりも多く分配委任を受けることが明らかになった。被験者の利他性は分配委任に影響していなかった。社会的交換場面における非協力者が検知されているという研究はこれまでにもあったが、日常的な利他性についての非言語的な手がかりがあること、またそれが金銭を用いた信頼行動に影響していることを示したのは本研究が初めてである。次に、人物の顔写真を用い、被験者に顔写真の人物を相手とした2度の分配委任ゲームを行ってもらった。1度目のゲームにおける分配を利他的なもの非利他的なものに設定したところ、2度目のゲームにおいて委任の程度に差がみられた。詳しく分析すると、1度目のゲームにおいて非利他主義者に委任してしまった被験者が、2度目において委任しなくなることでこの差が生まれていることが明らかになった。人間の記憶バイアスは利他主義者を積極的に記憶するのではなく、非利他主義者を記憶し排除する方向に働いていることが明らかになった。さらに、被験者の利他性は記憶バイアスに影響していなかった。社会的交換場面における非協力者への記憶バイアスを示した研究はこれまでにもあったが、記憶バイアスの方向性を検討した研究は初めてであり、人間の社会的知能の構造について重要な知見をもたらす結果であるといえる。
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Research Products
(2 results)