2008 Fiscal Year Annual Research Report
視覚性ワーキングメモリにおける情報統合機構の認知神経科学的研究
Project/Area Number |
19500226
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋木 潤 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (60283470)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 洋紀 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教 (10332727)
|
Keywords | 視覚性ワーキングメモリ / 情報統合 / 認知神経科学 / fMRI / 事象関連電位 |
Research Abstract |
本年度は、視覚性ワーキングメモリにおける、物体を構成する様々な視覚属性の統合、保持機構を主として行動実験、fMRI実験によって検討した。具体的には、(1)属性の結び付けを評価できる行動課題の開発及び実験、(2)適切な行動課題を用いたfMRI実験による特徴の結びつけが保持される脳領域の特定、を行った。行動実験については、MOPT課題を用いて属性結合の記憶の困難さが主として保持過程を反映し、検索の負荷による保持過程の過小評価ではないことを初めて明らかにした。この成果は英文誌Journal of Visionに公刊された。また、この知見の一般性を評価するために変化検出課題を用いた研究は追加の実験を行ない、現在、英文誌に論文の投稿準備中である。また、時空間視覚探索法というパラダイムを開発して特徴統合の記憶を検討した研究の成果がVisual Cognition誌のbindingの特集号に掲載された。fMRI実験については、特徴の結びつけの保持過程と変化の検出過程の分離を試みた実験から、前頭前野前部の活動が主として変化検出時のもので記憶保持そのものの活動ではないことが見出され、現在英文誌に投稿準備中である。また、fMRIを用いて視覚性ワーキングメモリの脳内表現を詳細に検討する新しい実験を開始し、IPSにおいて視覚記憶がレチノトピックに表象されていることを示す予備的結果を得た。また、MOPT課題を用いた研究をレビューした論文をbook chapterとして公刊した。脳波測定を用いた事象関連電位測定実験については、予備実験を行ない、記憶関連の成分を取り出せることを確認した。今後、適切な課題をデザインし実験を開始することを目指す。
|