2008 Fiscal Year Annual Research Report
グラフ理論・組合せ可換代数を用いたグラフィカルモデルの統計的推測に関する研究
Project/Area Number |
19500233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 尚幸 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (40312988)
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Keywords | グラフィカルモデル / 縮小推定 / マルコフ基底 / 正確検定 / 局所計算 / ベイズ推定 |
Research Abstract |
本年度は主として(i)Poisson分解可能モデルにおける最尤推定量の改良、(ii)ガウスグラフィカルモデルの共分散行列の最尤推定量計算の局所化、(iii)分割表のsubtable sum problemにおけるMarkov基底の導出の3つの課題について研究を行った。 (i)では、飽和モデルにおけるClevenson and Zidek(1976)が提案したBayes推定の議論を分解可能モデルに拡張し、2乗損失関数の下でMLEを改良し、かつ許容的なBayes推定量を導出した。さらに実データに適用し、小標本の場合の有効性を確認した。 (ii)では、Badsberg and Malvestuto(2002)、Jirousek and Preucil(1995)らによる分割表の階層モデルにおけるMLE計算の局所化のアイディアをガウスグラフィカルモデルの共分散行列のMLE計算に応用し、計算量の意味で従来のアルゴリズムが繰り返し計算1回あたりモデルの次元の3乗のオーダーであるのに対し、疎なモデルにおいては線形のオーダーで計算可能なアルゴリズムを提案した。そして数値実験により、とくにモデルの次元が100を超える場合には提案手法が著しく有効であることを確認した。 (iii)では、2元分割表の変化点モデル(Hirotsu(1997))や疑似独立モデルのように、2因子交互作用が部分的にしか存在しないようないくつかのモデルにおけるMarkov基底の導出を行った。実データを用いてMCMC法による正確検定を行いその有用性を確認した。
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