2009 Fiscal Year Annual Research Report
グラフ理論・組合せ可換代数を用いたグラフィカルモデルの統計的推測に関する研究
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19500233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 尚幸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40312988)
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Keywords | グラフィカルモデル / マルコフ基底 / コーダルグラフ / 部分マルコフ基底 / 比例反復法 / ベイズ推定 / 許容性 |
Research Abstract |
本年度は主として、トーリックモデルのマルコフ基底の導出、グラフィカルモデル推測の局所計算アルゴリズム、グラフィカルモデルのベイズ推定に焦点を当てて研究を行った。 まずトーリックモデルのマルコフ基底に関しては、部分和モデル(subtable sum model)、commondiagonal effect modelなどの、いくつかの実川的な統計モデルにおけるマルコフ基底の導出を行い、それらを用いた正確検定アルゴリズムの導出を行った。また離散ロジスティック回帰モデルの場合は、マルコフ基底の構造が複雑で、一般には導出が困難であるこどが知られているが、各説明変数の組に対する試行回数が正であるという現実的な制約を満たすファイバー要素のみを連結に結ぶには、単純な構造のマルコフ基底の部分集合だけで十分であることを示し、それらを用いた正確検定アルゴリズムの導出も行った。 またガウスグラフィカルモデルの共分散行列の最尤推定量の計算における標準的な繰り返し計算アルゴリズムである例反復法を、コーダルグラフ拡張を用いることによりアルゴリムを局所化し、従来のアルゴリズムより計算量の意味で優れたアルゴリズムの導出に成功し、計算機実験により実用性を確認した。 さらに、ポアソングラフィカルモデルのセル確率の推定問題に関し、最尤推定量を二乗誤差の意味で優越するベイズ推定量を導出した。またいくつかの提案型推定量に関しては、許容的であることも証明した。
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