2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群診断基準の疫学的意義を明確にするための統計解析理論の開発
Project/Area Number |
19500238
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 剛 Nagasaki University, 環境科学部, 教授 (80039586)
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Keywords | 移設可能性 / メタボリック症候群 / 多変量正規分布 / 放射線影響研究所 / コホート / リスク推定 |
Research Abstract |
本研究は"移設可能性(Transportability)"の理論の構築とその応用を扱っている。移設可能とは、ある標本で得られた予測モデルを、独立した別の集団での予測に用いることができる状況を言う。動機は10年前の腹囲の推定値を用いてメタボリック症候群(MS)のリスク推定を可能にするための条件(移設可能性)の明確化と検証法の開発であった。本研究で初めて移設可能性を数学的に定義し,それの成立する十分条件として、2つの母集団(現在と10年前の検査値ベクトル)がそれぞれ多変量正規分布に従い,共分散行列が同等であることを示した.実際には,10年前の腹囲は観察されておらず,その十分条件を直接検証することは不可能である.そこで新たな条件として,y-定常性(y-Homogeneity)を定義した.腹囲定常性条件の検証法を開発し、実際に放射線影響研究所のコホート集団に適用した結果、実効性の有ることが確認された。さらに、10年前の腹囲の移設推定値を利用したリスク解析法をそのコホート集団に用いた結果、MS予備群では腹囲が大きいほどMS関連疾患による死亡リスクの低いことが示唆された.得られた結果が臨床医学の常識と矛盾している理由として,肥満パラドックスの可能性を示唆し、今後の研究課題を考察した。本研究で確立された移設可能性を用いたリスク解析法は、長期に亘る将来に向けての追跡調査の代わりに、蓄積されたコホートデータを利用して直ちにリスク推定を可能にするので、費用と時間の節約にもなる。
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[Journal Article] 移設可能性の理論とリスク解析への応用2009
Author(s)
中村剛、石田紀子
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Journal Title
Proceedings of New Theory and Applications of Statistical Inference in High-Dimensional and Multivariate Analysis
Pages: Contents 7
Peer Reviewed
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