Research Abstract |
本研究の目的は,分子疫学データの特性を十分に理解した上で,遺伝疫学因子と生活環境因子が,がんなどの疾病リスクにどのように影響を与えるかを評価する統計的手法を詳しく検討することである。平成19年度は研究期間の初年度に当たることから,特に(1)がんの分子疫学データの特徴の理解,(2)コホート内研究における統計手法の開発を重点的に行った。 (1)については,中地と和泉が中心となり,結腸がんと肺がんの分子疫学データの特徴をデータ解析を通して調べ,日本癌学会学術総会で研究発表を行った。また,その成果の一部をRERF UPDATEに論文発表した。 (2)については,和泉と藤井が中心となり,コホート内研究において対照を抽出するデザインや統計的手法に関してサーベイを行い,解説論文を発表した。最近,多様な生体マーカーが利用可能となり,コスト効率のよい分子疫学研究を立案することは意義深く,コホート内症例対照研究デザインにおけるサンプルサイズや検出力の推定方法に関する研究は重要な研究課題であると考えられる。そこで,コホート内症例対照研究における検出力について推定方法を提案した。そして,実データに則した数値実験を行い,従来の手法と提案手法の特性を比較した。東アジア計量生物国際会議や統計関連学会連合大会などで,この提案手法と実験結果について研究発表を行った。 この他,本研究課題に間接的に関係するものとして,発がん機構モデル,構造方程式モデルに関する成果も研究発表欄にリストしている。
|