2009 Fiscal Year Annual Research Report
サスティナブル・ディベロップメントに貢献する環境リスク評価手法の開発
Project/Area Number |
19500248
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
金藤 浩司 The Institute of Statistical Mathematics, データ科学研究系, 准教授 (40233902)
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Keywords | 環境リスク / 生態リスク / 定量評価 |
Research Abstract |
現代的課題の一つである環境問題の解決に関して,統計科学が果たすべき役割は増大している.その理由は,多くの環境問題は,ある現象が質的・量的に悪化していることを,発見科学的な手法や統計科学的推論に基づいて,時間と空間の量として,どのような生物に影響を及ぼすかを科学的な論拠(正確な測定データとその解析手法等)をもって示さなければ認められない社会になっているからである.本研究では,環境測定(モニタリング)の部分と,リスクの定量的評価(環境リスク評価)に関して,特定の場所および物質から基礎的研究を始め,その展開としてより汎用的な環境統計の方法論の構築を目指している。 2010年3月3日(水)、統計数理研究所において、特定非営利活動法人環境統計統合機構と共催でISMシンポジウム「観察・データ・モデルの狭間を漂う統計数理:生態学におけるその役割と展望」を開催した。一般にフィールド生態学のデータは自然観察による野帳記録が基本であるが、近年の測量技術の進歩や先人が収集したデータの引き継ぎ等により、良質な長期データが整ってきた。ところが、生態系の時空間データは斬新な構造を有し、確立した解析法があるわけではないこともあって、その活用を図る段になって立ち往生している。一方数理生態学では、様々な時空間モデルが検討されてきているが、概して実データへ適用しにくい。こうしたアンバランスは、実データとモデルを包括させる役割を担う統計数理が、生態学では未発達な状態にあることに起因する。本シンポでは、フィールド、データ、モデルにまたがる多様な研究者間で、生態学における統計数理の役割と展望について議論した。
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