2007 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の柔構造の分子メカニズム:分子内部の空隙と加圧による構造変化の解析
Project/Area Number |
19500252
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
曽田 邦嗣 Nagaoka University of Technology, 工学部, 教授 (10011686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 安孝 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (30377220)
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Keywords | 柔構造 / 分子動力学 / 原子充填密度 / 分子内空隙 / 圧力効果 |
Research Abstract |
天然状態で折り畳まれている天然蛋白分子は,特異的な機能を発現できる「ナノ粒子」である。それは,室温における溶媒水の熱擾乱に対抗して,機能発現に必要な固体構造を保持できるだけの凝集力を確保するように設計されている筈である。その一方で,折り畳まれた構造が機能発現に必要な程度の柔軟性が得られることも,重要な設計指針の1つである筈である。本研究の目的は,対立するかに見える上の2つの要請が,どのように満たされているかを明らかにすることである。07年度は,前者の要請に対する天然蛋白質の対応を調べるために,高精度でX線結晶解析が為されている440種の蛋白構造について,原子充填密度ηを再評価した。その結果,以下の事実が見出された:(1)天然蛋白質を構成する原子のηは,平均して0.69なる値を持つ。この値は,有機液体のそれより0.2以上も大きく,蛋白分子が分子内原子間に作用する分散力の集積により,固体構造を保っている可能性を示している。しかしその一方で,(2)上の値は最密充填構造の値0.74よりも,またこれまで蛋白質について報告され,確立された値として広く受け入れられてきた値よりも有意に低い。また,(3)側鎖原子のηの値は,主鎖原子のそれよりも有意に低い。更に,(4)蛋白分子内の隣接原子間には,平均0.1nm以上の厚さの空隙が存在する。(2)-(4)の事実は,蛋白質の「柔構造」の実体を示すものと考えられる。(論文準備中)
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