2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳局所神経回路における回路トポロジーの自己組織的制御メカニズム
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19500256
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片山 統裕 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (20282030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辛島 彰洋 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (40374988)
中尾 光之 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (20172265)
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Keywords | 皮質神経回路モデル / ニューロン / スパイクタイミング依存性シナプス可塑性 / 介在ニューロン / 同期 / 自己組織化 / 時空間ダイナミクス / トポロジー |
Research Abstract |
大脳皮質神経回路におけるニューロンのダイナミクスと神経回路トポロジーの相互作用による自己組織化現象を明らかにするために,皮質神経回路モデルを構築し計算機シミュレーションによりその特性を解析した.皮質は興奮性細胞層と抑制性細胞層からなる2層構造とした.層内結合と層間結合のトポロジーを規定し,興奮性細胞間の結合にのみスパイクタイミング依存性シナプス可塑性(STDP)を導入した.ネットワークの構造は次のようにして構築した.まず,ニューロンを2次元平面上にランダムに配置し,軸索投射の空間分布に基づいてシナプス結合の有無を規定する構造(配線トポロジー)を与えた.配線トポロジーは,近傍結合構造を基にし,結合を確率pでランダムにつなぎ換えることにより回路のランダムさを連続的に制御した.皮質神経回路モデルをランダムノイズで駆動し,ニューロンの活動パターンと,STDPに基づいて自己組織化される神経回路構造(機能トポロジー)の時間経過を解析した.シミュレーションの結果,興奮性細胞層内のつなぎ換え確率をp<<1としたとき,皮質上を周期的に発生する興奮波が一方向的に伝播する回路が自己組織化された.p≒1にすると,散発的な興奮がみられるだけで,興奮波伝播は生じなかった.pを中間的な値にすると,20Hz程度の同期的興奮を呈するニューロン集団がクラスター状に形成されるようになり,pの値に依存して,帯状の興奮パターンや,クラスター間の散発的同期によって生じるUP/DOWN状態の交代現象が観察された.自己組織化の進行に伴って,ニューロン活動の同期の強さが変化し,引き続きネットワークのクラスター係数が追従する傾向がみられた.以上の結果は,遺伝プログラムによって規定された神経回路構造の上にシナプス可塑性メカニズムによって機能的回路が構築されるプロセスの一端を明らかにしたものであると考えられる.
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Research Products
(6 results)