2009 Fiscal Year Annual Research Report
連想記憶モデルを用いた海馬新生ニューロンの情報論的研究
Project/Area Number |
19500257
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊達 章 University of Miyazaki, 工学部, 准教授 (60322707)
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Keywords | 神経回路モデル / 連想記憶 / 新生ニューロン / 記憶容量 / 学習 / 数理モデル / ニューラルネットワーク / 脳 |
Research Abstract |
脳神経細胞の数は減る一方であると信じられていたが,記憶の情報処理に深く関わっていると考えられている海馬において,神経細胞が新たに生まれていることが発見されている.本研究では「連想記憶」の数理モデルを用いて,神経細胞を失うことと生まれることの情報論的意味を明らかにすることを目的とした.最終年度たる平成21年度においては,前年度に引き続き,「連想記憶」の数理モデルを中心に研究を実施した. 「連想記憶モデル」においては,あらかじめ記憶するパターンを実験者が生成する.モデルの性能は,「記憶容量」で評価される場合が多い.ここで,興奮する細胞の割合が小さいスパース符合化された興奮パターンを記憶させた場合,記憶容量が飛躍的に増大することが知られている.前年度に解析したHopfield 2008モデル(Neural Computation, vo1. 20, pp. 1119-1164, 2008)を単純化したモデルを用い,コンピュータシミュレーションによる解析を中心に研究を実施した.このモデルは,想起の成否が容易に判別できる機能を持つ.この機能を発揮できる仕掛けは,1. 記憶パターンが構造を持っている点,2. 0,1の二値のみをとる結合係数の中に埋め込む点,であることがわかった.情報表現により,想起の成否が容易に判別できる点は情報論的に面白い.想い出した事項が正しいかどうかは,ベイズ統計の視点からは,事後確率を計算することにあたる.このような動機から,構造を持っパターンを生成する能力をもつ確率モデルを構築し,事後確率分布の構造を調べる研究も実施した.実験結果については電子情報通信学会の研究会において発表した.
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