2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳における“内部状態"間の遷移と擬アトラクタ-数理と神経科学からの接近
Project/Area Number |
19500259
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
藤井 宏 Kyoto Sangyo University, コンピュータ理工学部, 教授 (90065839)
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Keywords | 皮質求心性アセチルコリン / 大脳皮質の状態遷移 / 知覚のトップダウン・メカニズム / 擬アトラクタ / 脱抑制による“局所アトラクタ"の安定化 / 海馬入力の皮質側の解釈 / 抑制性1層細胞 / 皮質2 / 3層錐体細胞の脱抑制 |
Research Abstract |
1、脳内大域動力学における注意にともなう前頭前野、マイネルト核経由皮質求心性アセチルコリンの皮質状態遷移への役割についてレビューと仮説(論文1,2) 皮質全6層へのマイネルト核からのアセチルコリンおよび、GABAの投射の構造、ニューロン・レベルでのアセチルコリンへの反応などにおいて、基礎的な生理学的実験データのレビューをおこない、また注意における皮質求心性アセチルコリン投射による皮質の状態遷移について仮説を述べた。とくに、この投射によるガンマ帯振動の機序についてもレビューを行った。 2、知覚のトップダウン・メカニズムに関する擬アトラクタに基礎をおく力学系的新仮説の提示(Dynamic Brain Forum2009). 皮質1層へのトップダウン入力による抑制性1層細胞の過渡的興奮をつうじ皮質2/3層錐体細胞の脱抑制過程が、デフォールト状態では擬アトラクタとして潜在的に存在している“局所アトラクタ"が活性化する。 以上は、注意に関するA.Treisman理論、およびGestalt心理学と共鳴する。また、最近のKenet実験の力学系的な解釈と機序に関する新仮説を含む。 さらにγ(β,θ)大域同期による大域アトラクタの過渡的生成における皮質求心性アセチルコリンの役割についての議論。 以上の仮説は、さらに海馬CA1からの(EC経由)皮質へのインデックス入力の皮質側における“解釈"(読み取り)に関する仮説をふくむ。(TylerのIndex Theoryの力学系的解釈。)
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